IPアドレスってそもそも何?知れば面白い仕組みの話

オペレーティングシステム(OS)

「IPアドレス」という言葉は聞いたことがあっても、実際に何をしているものなのか、意外とちゃんと説明できる人は少ないかもしれません。今回は、基本のキから、知ると「へえ」となるような細かい仕組みまで、まとめてご紹介します。

そもそもIPアドレスとは何か

一言でいえば、ネットワークに接続された機器を識別するための番号です。

郵便物を届けるのに住所が必要なように、インターネット上でパソコンやスマホ、サーバーがデータをやり取りするときにも「送り主はどこで、宛先はどこか」を特定する仕組みが必要です。その役割を担うのがIPアドレスです。

192.168.1.1 のような数字の並びを、Wi-Fiの設定画面などで見たことがある人は多いはずです。あれがまさに、ある機器の「住所」にあたります。

IPv4とIPv6、2つの世代

現在使われているIPアドレスには2種類あります。

  • IPv4:32ビット。192.168.1.1 のように0〜255の数字を4つ、ピリオドで区切って表記。約43億通りしかなく、すでにほぼ枯渇している
  • IPv6:128ビット。2001:0db8:85a3::8a2e:0370:7334 のように16進数をコロン区切りで表記。約340澗(かん)通りという、地球上の砂粒の数を超えるとも言われる規模

IPv4が設計された1980年代には「世界中の機器を賄うには十分」と思われていましたが、インターネットの爆発的な普及によって想定は覆されました。IPv6は、その反省を踏まえて生まれた「もう二度と枯渇を心配しなくていい」規模のアドレス体系です。

番号だけでは意味がない、という妙

面白いのは、IPアドレスは単体では実はあまり意味を持たないという点です。「サブネットマスク」(または /24 のようなCIDR表記)とセットになって初めて、「どこまでがネットワークの区画で、どこからが個々の機器の番地か」が決まります。

同じ 192.168.1.100 という数字でも、組み合わせるマスクが変われば、所属するネットワークの範囲もまるで違うものになります。数字そのものより、区切り方にこそ設計の意図が宿っているのです。

世界中で同じ番号が使われても困らない理由

IPアドレスには、性格の異なる2つのタイプがあります。

  • グローバルIPアドレス:インターネット上で世界に一つだけの住所
  • プライベートIPアドレス:192.168.0.0/16 などの範囲で、家庭やオフィス内だけで通用する住所

不思議なことに、世界中の無数の家庭で 192.168.1.1 が同時に使われていても、誰も困りません。プライベートIPアドレスは「その場限りのローカルな符丁」として機能しており、ルーターが表通り(インターネット)に出る際にグローバルIPアドレスへと変換してくれているからです。

住所はどうやって手に入るのか

機器がIPアドレスを手にする方法は主に2つです。

  1. 自動で割り当てる(DHCP):ネットワークに繋いだ瞬間、DHCPサーバーが自動的に配布してくれる。家庭用Wi-Fiルーターにも標準搭載されており、私たちが意識せずネットに繋がれるのはこの仕組みのおかげ
  2. 手動で固定する(静的IP):サーバーやプリンターなど、常に同じ住所を保ちたい機器には、管理者があらかじめ番号を固定する

DHCPが応答してくれない場合、多くの機器は 169.254.x.x という特殊な範囲から自動的にアドレスを自己割り当てします(APIPAと呼ばれる仕組み)。これはあくまで応急処置で、同じネットワーク内の機器とは話せてもインターネットには出られません。トラブルシューティングで「169.254」を見かけたら、DHCPとの通信がうまくいっていないサインです。

全員に呼びかける「ブロードキャスト」

通常の通信は「1対1」ですが、ネットワークには「1対全員」で呼びかける仕組みもあります。それがブロードキャストです。DHCPサーバーをまだIPアドレスを持たない状態で探しに行くときや、同じネットワーク内の機器のMACアドレスを調べる(ARP)ときなど、様々な場面で活躍しています。

おわりに

普段は意識することのないIPアドレスですが、少し仕組みを覗いてみると、「住所」というたとえがしっくりくる、理にかなった設計であることが分かります。次にネットワークの設定画面で数字の羅列を見かけたときは、その裏側にある仕組みを思い出してみてください。